次世代リプログラミング因子KLF4改変体の論文を発表

iPS細胞作製の際に必要なリプログラミング因子の一つであるKLF4タンパク質において、DNAと直接相互作用するアミノ酸残基の改変体を多数作製しました。その中から「KLF4 L507A改変体(ヒトKLF4の507番目のアミノ酸残基ロイシンをアラニンに置換したもの)」を用いてiPS細胞を作製したところ、迅速、かつ高効率で、高品質なiPS細胞株を樹立できることが分かりました。

Borisova E, Nishimura K, An Y, Takami M, Li J, Song D, Matsuo-Takasaki M, Luijkx D, Aizawa S, Kuno A, Sugihara E, Sato T, Yumoto F, Terada T, Hisatake K, Hayashi Y. Structurally-discovered KLF4 variants accelerate and stabilize reprogramming to pluripotency. iScience. 2021 Dec 21:103525. doi.org/10.1016/j.isci.2021.103525

また、本論文発表に合わせて、理化学研究所と筑波大学からプレスリリースをいたしました。

次世代リプログラミング因子KLF4改変体の開発
-iPS細胞をより高効率・高品質に作製-

共著者である共同研究者の方々
ありがとうございました!

筆頭著者のJenny、おめでとうございます!

本研究成果は、従来の天然型タンパク質よりも優れたリプログラミング能を持つ「次世代リプログラミング因子」を開発した初めての例です。今後、他のリプログラミング因子においても同様な機能増強型の改変体が開発されると考えられます。その延長線上では、より効率よく高品質のiPS細胞を容易に作製できることから、患者自身から作ったiPS細胞(My iPS細胞)を用いた自家移植医療の実現に貢献すると期待できます。

また、本研究成果に関する特許のライセンスを受けて事業化を希望する企業を募集しています。

本研究の概要の図